カヌーワイルドウォーターの始め方
カヌーワイルドウォーターを始めて20年の私がワイルドの初め方を解説します。私がワイルドウォーターを始めた時に県外の選手が国民スポーツ大会の出場枠が限られているにも関わらず、多くのことを教えてくださいました。そんなこともあり私も次の世代には山梨県の選手とか関係なく教えて来ました。
カヌーインストラクターが教える!カヌーワイルドウォーター初心者講座
私はカヌーワイルドウォーターの山梨県代表選手を20年やっています。その他にもカヌーインストラクターとして働いています。私が選手になりたての頃には関東にも速い選手が大勢居て、県をまたいで多くの先輩方に教わりました。そんなこともあり国体では何度か3位まで上がったことがあります。
この記事では先輩に教わったこと、私が漕ぎ続けて気付いたこと、他県の選手に教えてみてわかったことなどを記述しています。また、このページは一気には書ききれないこともあり追記していきます。
ブログやYouTube、合宿などでワイルドウォーターの始め方を解説しています。
ワイルドウォーターの魅力
ワイルドウォーターというのは、ただの川下りです。誰が一番早く川を下れるのか?一人ひとり下ってタイムを測って決めよう!という種目です。1分間隔でスタートします。見通しのいいコースだと前の人が見えて参考になることがありますが、そうでない場合も多いです。
これ何が面白いのか?別の種目と比べてみます。
カヌースラロームとカヌーワイルドウォーターの違い
まずはカヌースラローム。目的とするゲートゲートがないので、どこを漕いでもいいです。このどこでも漕いでいいのが難しさと面白さです。数センチずれるとタイムがガタッと落ちることさえあります。パドルを指す位置やタイミングでもタイムが違います。スラロームをやっている人ならワイルドウォーターをやってみるとギリギリのライン作りの感覚に楽しみを覚える人もいると思います。私は小さく非力な選手なので川の流れを漕ぐ工夫でタイムを縮めることに力を入れていました。
カヌースプリントとカヌーワイルドウォーターの違い
次はカヌースプリント。9人並んで隣が見える状況のスプリントに対してワイルドウォーターは一人でスタートします。レース自体は最大30分にもなり孤独な戦いでもあります。スプリントでは隣と並んだ中でレースの組み立ての知略が必要です。ワイルドウォーターは川の流れの分析やアクシデントに対する対応など全く別の知略が必要になります。さらに、ベースとなる漕ぎ型の能力ももちろんですが必要です。ワイルドウォーターはスプリントをしていた選手も多いのですが決してこの力任せだけでは成り立たない難しさもあります。パワーと力と筋力、そういう世界ではないっていうのが面白みの一つです。もうひとつの違いは水の迫力です。自分の力に加えて川の流れの力のあるので速く漕げることがあります。そのスピードで波を越えていく迫力はスプリントでは味わえません。恐怖心のネジが飛んでなくなっている人の方がハマります。私もあまりない方だったのでワイルドウォーターの初日は川の水が茶色い増水した富士川で漕ぐことになりました。
その他のワイルドウォーターの魅力
ギリギリの攻め
東京都青梅市の御嶽駅でカヌーの大会が行われることが多いです。ここのコースは大きな岩がところどころ散らばっています。この隙間を抜けてゴールを目指しますが、この岩を避けようとすると避けすぎてしまい反対の崖にぶつかることがあります。3つの岩が並んでいるところがあります。この岩の小さなエディにカヌーの先端を入れることでのみスムーズに通れます。複雑な川の流れの中で10cmとズレてしまうと岩にぶつかる。そのギリギリ加減が面白いです。
水のパワーの迫力
細かいコントロールだけでやれるコースばかりではなく、大きな波が立ち塞がる場所もあります。群馬県みなかみ町での大会では頭に水を被るものもあれば一度宙に飛ばされる押し上げる波もあります。この時のスピードや衝撃は他のものでは体験できません。
そうは言ってもただの川下り
なんだかんだと言ってもただの川下りなんです。ラフティングや他のカヌーでも代替えできると言えばそうですね。普通の人はそれで良いと思います。ただ、好きなカヌーで誰よりも速くありたい。そんな想いにかられることってありますよね?私はカヌーポロから始めましたがスピードに対してこだわりが強かったです。それなりに速い自身がありましたが卒業後に誘われて始めたワイルドウォーターではそんな自分より圧倒的に速い選手だらけでした。得意な短距離でもまったく勝てません。誰が一番速いのか?これにこだわりがある人にはおすすめです。
好きなことは勝負で決めよう!ドラゴンボール理論
昔、カヌーを始めたばかりの小学生から「なんで大会に出る必要があるんですか」と尋ねられたことがあります。確かに、ただ水に浮かんでいるだけでも楽しいのに、わざわざ誰かと比べる必要なんてない。そんな楽しみ方があってもいいと思います。
僕がカヌーを始めた頃を思い返すと、最初はそうでした。中学生の頃には、ただプカプカ浮いているだけで楽しいです。しかしそんなことはすぐに飽きてしまいます。結局のところ、友達と落とし合いをして、自分の腕を試すみたいな遊びを繰り返していました。そうなると、ただカヌーに乗って楽しむというのは、いつか飽きてすぐにやめてしまうんじゃないか?誰かと好きなものについて競争するとより楽しくなる!ということはあります。さらに、カヌーの種類もいっぱいあって、遊ぶフィールドの違いもあり、楽しみ方も違う。楽しさは一つではなく、たくさんあります。その中から自分が楽しいと思えることに出会えたら、さらにラッキーだし、その上でお互いに高め合えるライバルがいると、カヌーがもっと楽しくなります。
ドラゴンボールで言うと、悟空は山にこもって1人で暮らし。それだけでも楽しく過ごしていたし、武術を独学で学んでいました。その後、ブルマと出会って、世界を回って色々な人に会い、自分より強い者がいます。そこでさらに戦うことへの楽しみが深まっていきました。
そこから考えると、カヌーで競うことは楽しみが何倍にも膨れ上がります。僕は得点を競うカヌーポロも楽しむし、ワイルドウォーターも迫力があって楽しい。自分のレースプランがハマってタイムを出せて、良い結果が出せると楽しいです。
まずはワイルドウォーターを借りてみよう
ワイルドウォーターはかなり特殊なカヌーになります。各都道府県にはカヌーの普及振興のためにカヌー協会があります。日本カヌー連盟のホームページにカヌー協会一覧のリストがあります。どこの県にもなにかしらのワイルドウォーターのカヌーがあります。県によってはボロボロかもしれません。しかし、このワイルドウォーターという種目は一人の選手を育てるのに最低1艇をボロボロに壊す程、練習をする必要があります。私は現在6艇目ですが4艇は半死半生です笑
カヌー協会一覧のリストから自分が住んでいる所、出身高校の所在地がある都道府県のカヌー協会に連絡をしてみてください。カヌー協会によっては貸してもらうことができます。ただし、壊した場合には原状復帰の費用がかかる場合があります。中には壊してもいいカヌーもあるのでとりあえず相談するのがおすすめです。
練習方法
まずはまったく流れのないところで練習をしましょう。カヌースプリントをしているコースがあるとベストです。人によってはふらふらしながら乗れる人もいますが最初は乗った瞬間に落ちてしまう状態の人もいます。諦めないでチャレンジし続けてみましょう。あなたは誰に教えられたわけでもなく立って歩いているので必ずワイルド艇に乗って漕ぎ出せるようになります。
乗るためのポイント
まず、陸でまっすぐ立ってみましょう。目をつぶり体の中心がどこなのか?イメージしましょう。頭の天辺から足の間に棒がまっすぐ刺さっている状態を想像してください。とにかくまっすぐ立ちます。自分の身体がふらふらしていないか?チェックします。安定した状態から左右の体重のパーセンテージを想像します。その重心を右に75%にしたり左に75%にしてみます。